tubo28's blog
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中古戸建てを買った

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Tags: fudousan assets

はじめに

こんばんは、いちスプラトゥーンプレイヤーのつぼです。最近はサーモンラン全ステ金バッジを目指してがんばっています。今バージョンから始まるビッグランも楽しみにしています。

さて、この記事は Splathon Advent Calendar の3日目の記事として書かれました。家を買った話を書きます。

stable-diffusionで生成した雰囲気が似ている家
stable-diffusionで生成した雰囲気が似ている家

TL; DR

私について

https://tubo28.me/about.html

背景

2021年初夏。川崎市内の賃貸マンションに住んでいました。とても住みよい場所でしたが、マンションには問題がありました。というのも、新型コロナウイルス感染症流行のため夫婦ともリモートワークをしていましたが、狭い2DKの間取りはそれには不向きで、お互いのオンラインミーティングの声が干渉するという不便に常に悩まされていました。また子供が生まれた後に子育てするスペースは無く、育児と家探しを並行でやるのはつらいと聞いていたこともあり、買う買わないは別にして近々引っ越す必要がありました。

当然ながら賃貸とも迷いました。詳しくはネットの情報に任せますが、賃貸に対する買うことのデメリットは、特に経済合理性において山ほどあります。しかしリモートワーク夫婦が子供二人(予定)と暮らせる家となると賃貸も安くありません。というかそういう物件自体少なく、選択肢が極端に狭まります。

さらには今から35年ローンを借りたときの完済時期、そして転職が多い業界にいて、今勤めている会社での勤続年数を数えても今が良いタイミングでした。

ということで、購入を前提におうち探しがスタートしました。

実際のところはもう少し様子見しても良かったかもしれません。その理由としてはもっと貯金を増やしてから、不動産価格が落ち着いてから、子供の人数と性別が確定してから、などなど。しかし、上に書いた事情による引っ越し欲の方が勝っていたのでした。

家探し

不動産探しにおいて「希望が完璧に叶う物件は無い」というよく言われる話は知っていたので 広くて東京に通えて地震で崩れない家 という最低限 (?) の条件に絞って探し始めました。予算もここには書きませんが一定の値に決めました。

東京に通えさえすれば場所に希望は無く、当初はマンションと戸建てはどっちでも良いと思っていました(私はどちらかというと戸建て派、妻はどちらかというとマンション派でしたが夫婦の総意として)。なので、まずは感覚をつかむために近場のマンション内覧会や住宅展示場に足を運んだり、また近郊の良さげなエリアまで雰囲気を感じるためだけに散歩に行ったりしました(中央線、京王線、小田急線、常磐線、TX、湘南新宿ラインなどの沿線の人気エリア)。ネットや書籍による情報収集ももちろんしました。Slackの#fudousanも画面に穴が空くまで読みました、ありがとうございます。

いろいろ見た結果、予算的に新築は無理であること、また都心アクセスと予算のバランスを取ってエリアは 首都圏郊外の都心まで1時間くらいの場所 を目指すことで、夫婦で合意しました。

リモートワークなのでいっそ地方都市まで引っ越して安く済ませたいものですが現実的にはそうもいきません。

長い目で見ると、業務内容的に不可能な業種を除いてリモート化の流れは止まらないと思っています。リモートワークの普及が郊外の地価が上がっている一因となっているくらいで、少なくとも、今郊外でリモートの良さを享受している人たちが社会の意思決定層の年代になったときに、通勤に回帰するとは思えません。知らんけど。

しかし、妻が勤務するようなJTCには、リモート会議やドキュメンテーションが苦手とかいうしょうもない理由でリモートワークが嫌いな人が部長クラスにまだまだいます。本当にそういう人たちはGitLab社員の爪の垢を煎じて飲んでほしい。下記は現代人が参考にすべきGitLabのリモートワークハンドブックです。ググると日本語スライドもあります。

とにかく、そういった理由でリモートワークに完全移行できない間は、通勤への回帰に備えておかなければいけません。

しかし世の中そう甘くありません。都心へのアクセスと地価は明確にトレードオフの関係にあるという事実が突きつけられます。穴場はありません。さらにここ数年の首都圏の不動産は、コロナや物価高のためにバブル期以上の高値を付けています。いい感じの物件、例えば下のようなクエリで検索して出てくる物件は7000~8000万円です。

雰囲気としては、ここから何かが一段階グレードダウンするごとに10~20%値下がりします。10年前と比べると給料は変わらないのに何千万も上がっています。やばすぎです。

その値段で我が家の収入でも、融資の審査で物件価値を重視するフラット35なら借りられます(ただしペアローン)。しかしフラット35の標準的な実行金利である年1.5%で計算すると月20万の返済となります。たまにしか出かけないのに立地のためにそんなに払う気が起きません。

そして、我々の手が出る価格帯のマンションは、何かしらこれはあかんやろというポイントがあります。

一般論として、マンションの最大のメリットは建物が長持ちし、誰にとっても便利で住みやすく需要があること、つまり時間経過による値下がりが緩やかで、売りたいときに売りやすいことです。そのような不動産は資産価値が高いと見なされます。便利で管理も行き届いているマンションは、住みやすいだけではなく資産とみなせます。対して上に挙げたような欠点が目立ちすぎる物件は、住みづらく、我々の家探しの動機からして本末転倒だったのは当然として、資産性というマンションの大きなメリットが失われます。その一方でランニングコストや自治の面倒さという良くないところからは逃れられません。良いとこ無しです。

高騰するマンションに対する見解は下記kumagiさんの記事に完全に一致します。

この記事が書かれてから1年4ヶ月後の2022年12月現在に至るまでも、下がる下がると言われながら上がっています。一体誰が買っているのか……。

このような状況なので都心まで1時間くらいで妥協し、資産性の強さから特に市場が盛り上がっているマンションではなく、比較的上昇が緩やかな中古の戸建てが自動的に選択肢として濃厚になっていきます。

いざ購入

家探しを始めて一年の2022年夏。既にスーモウォッチングとフィールドワークに疲れていたある日、知人経由で紹介された営業に相模原市の中古戸建てを紹介されました。カタログスペック上は

と、予算と駅徒歩が気になりますが総合的にはちょうど良く見えます。

現況居住中の家は生活感ある部屋が公開されることを嫌って写真をネットに載せないことがよくあります。この家もそうだったためまずは行ってみることに。

で、いざ現地で見てみると、築10年以上とは思えないほどきれいな家でした。たまたまこの家を見る前にローコストハウスメーカーの新築を見ていましたが、その時営業がプレゼンしていた最新設備が建築時点でほぼ揃っていました。当時で坪単価100万近くしたんじゃないかな……。それが今だと建物価格1000万円台なのが恐ろしいです。これが日本で戸建て住宅を資産として見たときの現実ですが、買う側としては助かります。

土地の方も駅徒歩を除いて大きな問題が見つかりません。台地の上の固く水はけが良い地盤、接道は市道、近所に郊外型のスーパー。駅まで行けば駅ビルがあって賑やかです。ついでに橋本駅は2027年にリニア新幹線が開通予定と言われています。計画に様々な問題があり、十中八九予定に間に合いませんが……。

郊外戸建てかつ駅から遠めという時点で資産価値云々はほとんど諦めることになります。しかし現時点で住みやすく、将来リニア開通でワンチャン地価が上がる。駅から実際歩いてみると妥協できる程度の距離。予算少しオーバーとはいえここまでクオリティが高い中古もなかなか無い。ということで私、妻とも 「ここでよくない?」 という意見で一致します。その後登記簿やホームインスペクション等の確認を経て購入意思を伝えました。ピンと来る物件に出会ってからは早かったです。

振り返って

現実的な値段でとても良い家に引っ越せたことに満足しています。前オーナーさん家族が丁寧に手入れして住んでいたことが随所から感じられるので、我々も少しでも長持ちするように住みたいと思っています。

蓋を開けてみれば、「郊外にローンで年収の4倍の家を買う」という典型的な選択となりました。私と同じような境遇で最近このくらいの価格のマンションや一軒家を郊外に買っている人というのは周りにも結構いて、みんな考えることと行き着くところは一緒なのだなあという感想です。

また、自分で不動産について勉強しながら1年掛けて探していても、結局は信頼できる営業の見つけてきた家を買うことになりました。それで納得していますし、海千山千の営業を見極めるためにも勉強は必要なので無駄ではありませんでしたが、結局は信頼できるプロを見つけるのが一番だなあと思います。

もしこの記事をこれから家を買おうとしている人が読んでいたら、無理なローンを組んだり安かろう悪かろうな住宅を買ってしまうリスクもあるので、 業界知識の無い人間が慌ただしく買うのだけはやめとけ と伝えたいです。最低限学習コストを払い、十分時間をかけて良い物件・営業との出会いを待つのをおすすめします。漫画『正直不動産』に出てくるような営業は実在します。

買った家について

ここまででアドベントカレンダーに書きたかったことは書き切りました。残りは家の自慢などをします。

下の写真はリビングダイニングと300cmの対面キッチン。賃貸時代に床を這っていたLANケーブルも無くなり(詳細は後述)、下の階を気にする必要も無く存分にリングフィットアドベンチャーができます。そこそこ自炊するのでキッチンも便利に使っています。

LDKは22帳
LDKは22帳

建築物としての最大の特徴、リビング螺旋階段です。売主さんがリビングを少しでも広くするために採用されたと思われます。筋トレ用ゴムチューブを引っかけるのに利用しています。

リビング螺旋階段
リビング螺旋階段

筋トレは低体重で保険料が上がったことを重く受け止め最近増量のために頑張っています。

2階の間取りは部屋が廊下を挟む形になっているため声が干渉することは無く、各部屋に有線LANコンセントがあるのでリモートワークも快適です。

築年数的には内装外装ともに補修が必要になってくる時期です。屋根は素人目にも傷んできているのでそのうち修理かなと思っています。エコキュートと食洗機は売主さんによって3年前に交換済みでした。今は半導体不足で調達に3ヶ月かかっても普通なのでとても助かっています。実際エアコンは全部交換しましたがそのくらい時間がかかりました。

ネット環境事情

FTTHと隠蔽LAN配線は戸建ての醍醐味です。 写真のように、光ファイバー引き込み部分のすぐそばのコンセントにラベル付きのRJ45端子がたくさんあります。そこからLANケーブルが壁の中のパイプを通り家中のコンセントに繋がっています。中古でここまで整理されているのはたぶん珍しく、助かりました。VDSLでケーブルが床を這っていた賃貸時代と比べると目覚ましい技術革新です。

光ファイバー引き込み部のコンセント
光ファイバー引き込み部のコンセント
情報配線図。コンセントにラベルが付いていて対応が分かるようになっている。
情報配線図。コンセントにラベルが付いていて対応が分かるようになっている。

光クロス(ベストエフォート10Gbps)の契約をしたのに最大1Gbpsのcat 5eケーブルだったのが惜しいところです。まぁ築年数的に仕方ありません。DIYで全ケーブル6aに交換することも考えましたが、現実的にはNIC性能が1Gbpsを超えている端末が私のパソコンだけなため、私の自室への経路のみにとどめる予定です。12月がまるっと休みなのでその隙にやるつもりです。

実際問題ギガビットおうちLANをフルで実現するにはケーブル交換の労力、そしてルーターをはじめとする逸般の誤家庭向け機材に合計で十万円以上の投資が必要です。軽率にできるものではないのでそれで妥協しています。

fast.com による回線速度計測結果
fast.com による回線速度計測結果

ちなみに中古戸建ての配線は上のようなのとは異なり、建材にホッチキスのようなもので固定されていることや、そもそもLAN配線が無いことも多いです。その場合ケーブルを引く作業をDIYでやる難易度が格段に上がります。

自由設計で建てる余裕があるなら、IT関係者が建てたブログ記事を見ると皆だいたい同じようにパイプを通しているので心配無用でしょう。

分譲マンションについて言えば、私の観測した範囲では光コンセントが占有部分にあり各部屋に隠蔽LAN配線が来ているのは一軒しか見ませんでした。恐らくオーナーさんの趣味で後から工事したものです。他は半分以上がマンション向けISPが配線も請け負ったいわゆるLAN配線方式、次いで光回線と謳いつつ各戸まではVDSLのパターン、ケーブルテレビ系、NURO光といった具合でした。

仕事柄、toCのwebサービスにおいてIP banが施される風景をよく目にしているので、LAN配線方式はインターネットにおける素行の悪い隣人がいるリスクを考えると、個人的にはそれだけで購入を躊躇します。ともすると築古でcat 5ケーブルを使っている可能性を考えても同様です。まぁマンション住まいのリモートワーカーやゲーマーたちも知人に多くいるのでまともな品質・民度のマンションなら大丈夫なのかもしれません。

住んで分かる良いところ・悪いところ

参考までに、賃貸マンション暮らしと比較して実際のところを書いてみます。

良いところ:

悪いところ:

かかったお金

みんな大好きお金の話。

家と土地の代金はなんとなく察していただければ……。

それ以外については

などの費用を追加で払っています。 合計450万円 くらいです。ひえー。全て現金なのでマネーフォワードの預金グラフが悲しいことになりました。よく賃貸派の人が買うのは初期費用がすごいと言いますがそれに関して言えば完全に正しいです。

ローンは金利が一番安かった銀行で変動金利、私一本のフルローンにしました。円安の原因として最近ニュースで騒がれているように、日本の金利は今びっくりの低さです。おかげで月々の支払いは川崎の賃貸より安くなっています。売主都合で売買契約から引き渡し日(=ローン融資日)までに時間があったので、その間に良い条件のローンをゆっくり探せたのは逆に良かったかもしれません。同じ理由で引っ越しも安くなりましたし。ちなみに、中古は住宅ローン控除の上限が小さくなっており、新築と価格で比較する際は注意が必要です。どうして……。

これからかかるお金

今後も家の維持と子供を育てるのにめちゃめちゃ金がかかります。ゆえに、家を買う前に人生の中でいついくらお金がかかるかシミュレーションし、今XX円のローンを組んで大丈夫か確かめる作業が必要です。YouTubeの住宅FP関根さんのチャンネルが参考になります。

FP(ファイナンシャルプランナー)とは、家計や個人投資家などの将来にわたるキャッシュフローについてコンサルタンティングを行う専門家であり、またそのための民間資格です。3級は素人にも手が出せるレベルになっています。関根さんのチャンネル等も参考になりますが、ネットで断片的な情報を集めるより、よくまとまったテキストに一度目を通す方が遙かに効率が良いです。

私たちはこのような本を軽く読んだ上で、とある独立系FPに有料相談しました。

結果は今のまま変に贅沢せず共働きを続ければ、子供を2人産んでも大丈夫といったところです。その一方で、私よりも妻が働けなくなると子供2人はやや厳しいと指摘されました。仮に私が倒れても団信で家が残る一方で、妻がそうなったときの保障が何も無いからです。また働き盛りの年齢の女性はがんに罹患する確率が高いです。なので

に加入しました。どちらも掛け捨てです。保険選びも地雷が多く、それだけで書籍一冊が書けるレベルなのでよく吟味する必要がありました。

独立系FPは相談料の相場が5万円からとけっこう高く、相談すること自体に諸説あります。ですが、まぁこのようなリスクが数字で可視化されたので相談して良かったと思っています。

将来住む家について

賃貸をゼロとしたときの持ち家の損益分岐点はかなり未来にあります。つまり家に長く住むほど買ったことがお得に働くので、可能な限り長く住みたいと考えています。あと、単純に一度家探しを経験してみてまたやりたいとは思わない……。

ですが、例えば子供の進学とか、出勤強制の会社に転職とか、何らかの理由で都会に引っ越す必要性が出てくるかもしれません。まぁその時にならないと分かりません。

もっと先まで考えると、我々が歳を取って腰が曲がったときに螺旋階段の家に住めるのか。相模原市がどうなっているのか。何も分かりません。子供が成長して出て行ったら2LDK程度のマンションで十分なため、そのサイズなら金沢あたり(石川県出身なので)の駅近マンションを貯金で買って移住できるかもしれません。

まあ10年後、20年後の世の中がどうなっているか誰も分かりません。極論、今こんな妄想を垂れたところで何にもなりません。結局は未来の選択肢を広げられるようにお金を作るのが一番だと思っています。NISA、iDeCoといった国の制度を利用した積み立て投資が節税にもなって良いので最大限やっています。

おわりに

以上、郊外の中古戸建てを買ったサラリーマンからのレポートでした。

もっと言葉選びとか構成とかを考えてちゃんとした文章にしたかったところですが、“done is better than perfect” ということで。

明日のAdvent Calender登録者はpikkoさんで「ロッキンが千葉に移転した跡地(ひたちなか)で開催したロックフェスの感想とか」です。