Yamaha AG03 の設定
AG03 について
Yamaha AG03はオーディオインターフェースと呼ばれる機材の一つ。複数の音声を入力とし、音量を調節して出力できる。通話に配信にとても便利。1
別の選択肢に belkin のマルチイヤホンスプリッター がある。定番で安価だが、名前の通り本来は一つの音声出力をイヤホンのような複数の低電力の出力に分配するためのもので、入力を混ぜるためのものではない。ノイズや過負荷への耐性も無い。なので例えばゲームとPCの音を混ぜる目的でつないでイヤホンで聞いていると、片方がおかしくなったときにもう片方やイヤホンに影響を及ぼす。こういった理由からあまり好まれる使い方ではない。なのでbelkinさんも決して「ミキサー」とは呼ばず「マルチイヤホンスプリッター」と呼んでいる。
話が逸れたが、そういった訳でミキシング目的にきちんと作られた道具を使いたい。それでしばらく前からこのAG03を使ってきた。上位機種のAG06や最近出た後継機種のAG03 Mk2、AG06 Mk2もあるが、この記事ではAG03について扱う。といってもほとんど同じだと思う。
ところで Astro Mixampも持ってるじゃん と言われそうだ。まあ無駄遣いと言われても仕方ないが、理由はある。まず一つにMixampと私のPCとの相性が悪いのか、USBポートに挿してもたまに認識されない。そうなったときはPCを再起動したりUSB 3.0の別のポートに挿すなどいろいろ試すとそのうち使えるようになっていた。あと初期不良だかファームウェアのアップデートができなかった。というわけで、Astro Mixampもそれはそれでシンプルで使いやすかったのだが、問題があったのでAG03に乗り換えていたのだった。2
また話が逸れたが、この記事を書いた動機はAG03の使い方が一見では理解できないことだ。今まで適当な配線でも動いていたためそのまま使ってきたが、最近きちんと使い方が分かったのでメモを残す。
記事中の画像は公式サイトのAG03 取扱説明書から引用している。
基本
もう説明書の図の通りだが、
- 左上から入力し (1)
- 左下で編集し (2, 3)
- 右下で全体の音量を調節し (4)
- 右上から出力する (5)
というフローをまずは頭に入れる。
もう少し説明書無しでぱっと見で理解できるデザインがありそう、オーディオインターフェイスというジャンル自体が音響機器にある程度詳しい人向けの世界だから仕方ないのだろう。
入力
CH 1 (マイク入力)
- 端子は3と20の左側
- 3がXLR端子で20が3.5 mm端子用
- 両方に挿すと20が優先される。
- 3はダイナミックマイク、コンデンサマイクといったLINEレベルの信号を受け付ける
- 20は「プラグインパワー方式」と呼ばれる、いわゆる普通のヘッドセットなどのマイクの方式の信号を受け付ける
- これらは信号のレベルが違うので間違えて挿すと動かない
- 20に挿すべきものを間違えて3に挿し、しかも48 Vのファンタム電圧をかけてしてしまうと最悪マイクが壊れる3
- 音量調整は14,11
- 14はフェーダーで20左から入力した場合は使えない
CH 2/3 (ゲームなどのLINE入力)
- まず2/3とは三分の二ではなくCH 2とCH 3をステレオの左右としてまとめた呼び方
- 端子は4,5,6
- 5と6がステレオのLとR
- パソコンやゲームなど一般的に3.5 mmステレオジャックなソースから入力するには、フォーン端子二つに変換するケーブルが必要
- 音量調整は15の左
USB (パソコンやスマホなどの入出力)
- パソコンやスマホからの入出力
- 端子は明らかに1
- 音量調整は15の右
AUX (予備のLINE入力)
- 23から入力するLINE信号
- 仕様上は「予備」「BGM」という扱い
- 音量調節がAG03側でできずソース側に任せるなど、他の端子より扱いが雑
- ちなみにAG03 Mk2で音量調節できるようになった
出力
- 16または17がスピーカー出力
- 音量調整は25
- 19または20右がヘッドホン出力
- 音量調整は26
- USB (1)
- 音量は調節できない
私の環境での使い方
入力
- 20左にマイクを接続する
- 6にゲーム音声を接続する
- 1にPCを接続する
出力
- 17にスピーカーを出力する
- 20右にヘッドホンを接続する
- 1にPCを接続する (入力と共用)
入力のミキシング
- 11でマイク(20左)の音量を調節する
- 最大でも少し小さいマイクが多いと思う
- 15左でゲームの音量(6)を調節する
- 15右でPCの音量(1)を調節する
出力の調整
- 25でスピーカー(17)の音量を調節する
- 26でヘッドホン(20右)の音量を調節する
- ただしモニターミュート(24)をオンにするとマイクの音がヘッドホンとスピーカーには流れない
- 基本的に自分の声は聞きたくないためオンにする
スピーカーとヘッドホンを別々に調整できて便利。
USB出力の切り替え
27のスイッチで、USBに何をミックスして出力するかを選択する。つまりパソコンから見たAG03に何の音を入れるか選ぶことができる。USB出力だけを切り替え、ヘッドホンとスピーカーへのモニター出力には影響を及ぼさない。
上から順に
- Dry Ch 1-2G
- マイクのみ4
- PC音とゲーム音は含まない
- 主にDiscordやMeetでの通話用
- Input Mix
- マイク、ゲーム
- ゲーム配信用
- PC音は含まないのでPCゲームの音やDiscord通話を一緒に配信したいときはOBSでミックスする
- Loopback
- マイク、ゲーム、PC
- PC音とともにSwitchなどのゲームを配信する用
となる。配信目的にしか使わないなら3が非常に楽。しかし、仕事での通話にはPC音とゲーム音は乗せたくないため、事故防止に常にDry Ch 1にして、配信にはOBSでPC音と合成した音をのせるのを基本とする手もある。私はそうしている。
楽器をやる人にとってはイコライザなどの他の機能にも使いどころがありそうだが、ゲームと通話しかしない人には関係ない ↩︎
使わなくなった Mixamp は妻にあげた ↩︎
【AGシリーズ】【AGシリーズMK2】SONY ECM-PCV80Uなどのプラグインパワー方式のマイクの音が出ません。 ↩︎
4にギターを挿すとマイクとギターのミックスになるが使わない ↩︎