スプラトゥーンをプレイする上での回線の良さ


まとめ

10 Mbps や 20 ms という値は目安です。例えば ping 200 ms で安定しているなら、常にラグい状態ながらも遊べます。

はじめに

SNS で「ワイの家の回線速度 XXX Mbps あるぜ〜」「クソラグプレイヤー有線にしろや💢💢」などという文言をよく見かけます (前者は私もします)。

ところで、スプラトゥーンのようにリアルタイム性が重要なゲームにおける回線速度とは何か、どれだけあれば足りるのか、有線か無線かにどれ程意味があるのでしょうか。

この記事で、それに関して少し技術的な話題も交えて私の考えをまとめます。 なお、家庭で契約する固定回線のもと任天堂スイッチでスプラトゥーンをプレイすることを仮定します1

転送速度は 10 Mbps 程度あれば十分

Google で “speedtest” と検索し、出てくるボタンを押すと回線速度を計測してくれます。 スイッチの設定メニューからも同じようなことができます。 ↓のスクショはパソコンを家の WiFi に接続し計測した結果です。

speedtest

これが表すのは、平均して 1 秒間にどれだけの量の情報を送れたかという量 です。 メガビット/秒 (Mbps) は、1 秒間に転送される情報量を表す単位です。 どれだけ通信が安定しているか、ある時に送った情報がどれだけ遅延を伴って届くかとは関係ないことに注意してください。

平均してどれだけあれば良いか調べてみると諸説あり、この記事 では 10 Mbps は欲しいと書かれています。 ある方は「夜間は 30Mbps 出れば良いほう」と言っているにもかかわらず、プラベしてもラグは感じません。

結論として、経験則で数十 Mbps あれば十分です。それより大きい人がその程度の人に対してマウントを取るのは、スプラトゥーンをする上では意味のないことです。

ping 値はある程度より低く、さらに安定していないと意味がない

ping とは、非常に少ない量の情報を接続先に送り相手から応答が来るまでにかかる時間 を測るコマンドです。 通信先との接続確認や、応答速度の測定に使われます。 時間の方は ping 値とよく呼ばれ、通信速度の 1 つの尺度として使われます。 speedtest の結果に「レイテンシ」という項目がありますが、それは ping 値のことです。

平均的な通信速度を表す Mbps の値が十分高いのであれば、次はそれが安定しているか、初動が速いかが重要になります。 これ↓は、試しに speedtest のときと同じ条件で google.com まで ping を打ってみた様子です。 Mac のパソコンで叩きましたが、Windows でも Linux でもターミナルで ping google.com と叩けばほぼ同じように測れると思います。

$ ping google.com
PING google.com (172.217.31.142): 56 data bytes
64 bytes from 172.217.31.142: icmp_seq=0 ttl=55 time=2.557 ms
64 bytes from 172.217.31.142: icmp_seq=1 ttl=55 time=3.613 ms
64 bytes from 172.217.31.142: icmp_seq=2 ttl=55 time=3.218 ms
64 bytes from 172.217.31.142: icmp_seq=3 ttl=55 time=3.295 ms
64 bytes from 172.217.31.142: icmp_seq=4 ttl=55 time=4.879 ms
64 bytes from 172.217.31.142: icmp_seq=5 ttl=55 time=2.511 ms
64 bytes from 172.217.31.142: icmp_seq=6 ttl=55 time=5.970 ms
64 bytes from 172.217.31.142: icmp_seq=7 ttl=55 time=2.764 ms
64 bytes from 172.217.31.142: icmp_seq=8 ttl=55 time=3.430 ms
64 bytes from 172.217.31.142: icmp_seq=9 ttl=55 time=3.635 ms
64 bytes from 172.217.31.142: icmp_seq=10 ttl=55 time=3.697 ms
^C
--- google.com ping statistics ---
11 packets transmitted, 11 packets received, 0.0% packet loss
round-trip min/avg/max/stddev = 2.511/3.597/5.970/0.977 ms

各行の time=x.xxx ms というのがそれぞれの試行での結果です。 11 回飛ばして停止した際の統計が最後の行に表示されており、平均 3.597 ms, 標準偏差 0.997 ms とのことです。

標準偏差とは、どれだけ値がバラバラだったかを表す値です。 約 70 % の確率で平均との差が標準偏差以下となることが期待されます2。 標準偏差が小さいほど安定しているということになります。

ping 値は接続先までの経路にある機器の性能や、物理的な距離に依存します。 普通は速くて有線 LAN で 0.1 ms 〜 10 ms、無線 LAN で 5 〜 30 ms (平均) くらいだと思います。

さて、結果を見る上で重要なのが

  1. 安定しているか (急に大きくなったりしない、標準偏差が小さいか)
  2. 目安として平均 20 ms 以上でないか
  3. 全て届いているか (packet lost のような表示はないか)

の 3 つです。フリーの計測サービスには ping 値の平均?だけ表示するものが多いように思いますが、それだけでは不十分 だと思います。

もし 1. を満たしていない場合は急に通信が不安定になり、イカちゃんが瞬間移動したり回線落ちしたりします。

また、2. を満たしていない場合はラグい状態が常に続きます。ping が 50 ms であれば 3 フレーム、つまりスプラシューターの連射間隔の半分の時間だけ遅れることになります。実際には、モニタや Switch の処理の遅延もあるのでもっと遅くなります。100 ms を超えると明らかに確定数が増えているように感じます。 ping がそのくらい遅い人は常にラグを感じると思いますが、安定しているなら遊べなくはないです。

携帯回線でテザリングしたり、電子レンジが WiFi の電波に干渉したりすると 3. がダメになり、どれだけの時間不通だったかにもよりますが 1. と近いことが起きます。

転送速度も ping 速度も通信する相手の間で計測したものでなければ意味がない

スプラトゥーンは試合中に 8 人で P2P 通信を行います。 P2P とは、通信中に任天堂サーバーが中心的な役割をせず、次の図3のようにプレイヤー同士で直接通信を行う方式です。 パソコンは Switch だと思ってください (手抜き)。

P2P

したがって、自分や任天堂がどんなに良い回線を使っていても、他のプレイヤーの回線が悪かったらダメなわけです。 プレイヤーなら実感があると思います。 Twitter で検索してみると任天堂のサーバーが弱いとキレている人がいますが、それは間違いです。

マッチングの際に任天堂サーバーが仲介し、プレイヤー間の通信速度を報告させてマッチングの可否を判断してはいると思います4。 しかし、回線が不安定な人がたまたま高速と判断されたり、人数が少ないと遅い人とマッチングすることも当然あり、実際にプレイすると分かるように一定の確率でラグプレイヤーとマッチングしてしまいます。

また、v6 プラスや Nuro 光のような少し特殊なサービスを利用していると困ったことが起こることがあります。 これらのサービスは速いので人気ですが、最も普及している回線の方式と違うため、他のプレイヤーと通信できなかったり、稀に IP アドレスが海外判定されて海外部屋に入れられたりということが起きます。 こうなったら通信速度以前の問題です。 Nuro 光はかなり改善の努力がされているようですが。

また、Google のスピードテストもあくまでデータセンターとの通信速度を計測するものであり、 一定の指標にはなるかもしれませんが、ユーザー間の通信品質と関係あるとは限りません。

ということで、スプラトゥーンは P2P のゲームなのでスピードテストや ping を過信するのはやめましょう。

有線だからといってラグくないとは限らない & 逆も然り

SNS や人気配信のコメント欄を見ていると異常な有線回線信仰があると感じることがあります。 確かに、2.5 GHz WiFi だと電子レンジと干渉して回線落ちしたりします。 また、安いルーターの電波を遠くから掴んでいるとさすがにパケットロスするでしょう。

通信経路に無線の区間があることで良い影響は無いでしょう。しかし、悪い影響はどれほどのものなのでしょうか。 スプラトゥーンはラグに強くなるようにソフト的に工夫されているゲームをなので、 5 GHz WiFi の電波強度が十分な場所でプレイすれば、少なくとも私の動体視力でラグが酷くなったと感じたことがありません。 実際、上に掲載した我が家の WiFi の状況のように、きちんとした無線回線なら ping が数 ms 程度遅くなる程度で済みます (それでも無線にする理由がないので有線接続していますが)。

数 ms というとモニターやコントローラーの遅延と同じ世界になってきます。 また、有線といっても安物の長い LAN ケーブルが汚い部屋の隅を這って経年劣化していたら、果たしてどうなのか分かりません。 盲目的な有線信者がそのようなところまで頭が回っているか怪しいものです。

なお、集合住宅用の共同回線や JCOM 回線だとどんなにがんばっても遅いです。 ちなみに、私がかつて JCOM の住宅に住んでいたときは ping が平均 30 ms でたまに 200 ms とか出て最悪でした。

終わりに

通信速度と ping の両方を気にしましょう。有線を過信するのをやめましょう。では、ラグのない良きスプラライフを!


  1. スマブラのようによりラグにシビアなゲームでは話が違うかもしれません。 [return]
  2. 正規分布を仮定。 [return]
  3. 画像は https://ja.wikipedia.org/wiki/Peer_to_Peer から引用。 [return]
  4. スマブラでは公言されていますね。 [return]